この記事は、Web Accessibility Advent Calendar 2014、21日目の記事です。
21日目の記事では、特にクリエイターやストリートパフォーマーなど、表現者の方へ向けて書いています。
福沢諭吉の「学問ノススメ」から「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
の一節をもじって、「Web Accessibility」を直訳しつつ「電脳接続可能ノススメ」と表題をつけてみました。
「Web Accessibility」とは何なのか?最新の実装方法を知りたい!
といった問いについては、素晴らしい記事がAdvent Calendarに満載状態なので、
今回の記事は少し毛色を変えてみて、「Web Accessibility」について、いちエンジニアとしての主観的な概念よりのお話をさせていただこうと思います。
バンドマン、ラッパー、グラフィティアーティスト、ブレイクダンサー、ストリートパフォーマー、とにかく、どんな形であれ表現者の方はみんな、「Web Accessibility」を調べてみてください。きっとあなたの力になると思います。
「Web Accessibility」は表現をする側でなく、鑑賞する側の人間の環境を理解する上でのロジックの固まりとも言えます。
「Web Accessibility」をメタファーとして捉えるとするならば、「Web Accessibility」を知る事は、表現者のあなたにとって、一歩進んだ表現を可能にするかもしれません。
実際に「Web Accessibility」に関わる仕事に携わらなくてもいいので、「Accessibility」自体を自分の表現に取り入れてみてください。大きな利点があなたのものになるかもしれません。
私は「Web Accessibility」エンジニアとして社会生活をする上で感じる事なのですが、話に「Web Accessibility」と単語がでてくると、難しくて、敷居が高くて、自分には無理!と思われる方も多いように思います。
そこで私が声を大きくしたいのは、もっとファッショナブルな感覚で「Web Accessibility」を捉えてみてもいいと思うし、身近なところから始められるし、詳しくなくても、どんどん発言してみても全然大丈夫だということです。とりあえず、身近にWebをやっている人がいたら話題にしてみてください。
「Web Accessibility」が話題になる事自体が、引いては、「Web Accessibility」の実現につながりますし、それは社会の在り方に関わる問題だからです。
河竹黙阿弥の歌舞伎の台詞にあるような「強きを挫き弱きを助く」の精神性・大義名分で、
社会と渡り合っていける表現の場、それが「Web Accessibility」です。
政治・経済に携わらずとも、高学歴のような大掛かりなキャリアを踏まずとも、すぐに始められる世直し、それが「Web Accessibility」です。
結論から申し上げますと、「Web Accessibility」とは人間の尊厳を考える上で、重要ですし、「Web Accessibility」の持つポテンシャルは計り知れません。
今まで誰も解決する事が出来なかった問題を解決する糸口になるかもしれません。最高にクリエイティブなジャンルだと思います。
「学問ノススメ」には次の一節があります。
広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥との相違あるに似たるはなんぞや。
この一節での福沢諭吉の伝えたい事は、簡単にすると、人間社会には様々な人が存在するので、きちんと学を修めて世間に向き合いましょう、といった意味になるかと思います。
ここでいう人間社会の様相に対して、現代社会から回答として「Web Accessibility」を俎上に載せる事は可能です。
見えない・聞こえない・手が使えない・歩けないなど、人を取り巻くさまざまな環境に想いを馳せてイメージする事が、人類の相互理解につながるのではないでしょうか。
「Web Accessibility」の議論は、サイバー空間の公共性や、社会・人類の在り方にまで発展させられるジャンルです。
誰もが尊厳を持って生きてゆける社会を作るための「土台」自体を創るというクリエイティブに、是非とも参加して欲しいと思います。